ワールドカップ症候群というのがあるらしい。ワールドカップにあんまり心を奪われてボンヤリしてしまう人々のことらしい。終わってしまった喪失感も大きいのだ。
「ワールドカップが終わる前に」と題して書いたJIN'sコラムを、締めくくる前に、ついに終わってしまった。
さまざまな問題がボクの中を揺さぶっている。
それらをすべて取り上げることはできないが、できれば、ナショナリズムということだけでもこれを機会に考えてみたかったのだが、今、読み始めた中沢新一氏の新刊がまさに「国家がどこから生まれたのか?」という問題を扱っているので、これを読み終えるまで、触れ得なくなってしまったカッコウだ。
しかし、このページを使って、ごく個人的な心の記録を披瀝してオチャを濁そう。
■いちばん感動した試合――1次リーグ、ドイツ対アイルランド戦。ロスタイムでの同点ゴール。古き良きアイルランド魂の復活。父親の存在(不在)したフィールド。土の匂い。人類の希望。
■いちばん心に残ったゴール――決勝トーナメント、韓国対イタリア戦のソルギヒョンの同点ゴール。頭が真っ白になった。瞬間的な感動だったが、自分でもビックリした。
■いちばん印象に残った選手――1次リーグ、韓国戦でのルイス・フィーゴ。サッカー選手が戦わなければならない相手とは、時に、相手チームではなく、とてつもなく巨大な何かである、というコトを感じる。そして、そういうモノと戦う人間の目の光をボクは見たのだ。あれだけは絶対に忘れない。集団に頼ることも、逃げる出すこともできず、そこに立ち尽くさねばならない英雄的な精神。
■いちばん楽しかった選手――イングランド戦でレッドもらったロナウジーニョ。楽しかったというと語弊があるかな。ブラジル選手はがいして審判に対して、まるでお代官さまに平伏する小作農のようだ。だから、心性の根ッコはかなり深刻だったりもするけど、でも、あのときのロナウジーニョの顔は可笑しかった。
■いちばんステキだった審判――イタリア人のコリーナさんとデンマ−ク人のニールセンさん。決勝のコリーナさんは笑顔が偉大だった。ニールセンさんは、トーナメントのブラジル対トルコだったろうか、選手がもみあいになって、次から次へとモンクを言いにやってきた時、選手の誰より背が高く、ヒョウヒョウと応対していた絵が不思議だった。苦情受けタイムを作ってしまうところが、やはり偉大な人なんだろうな。
いちばんというともう出てこないけど、ほかにもたくさんのステキな選手、気になる選手がいたのだ。イングランド戦でのベーロンの不調。メキシコ戦でのデルピエロの登場。韓国戦でのトッティの好調とレッドカード。やはり韓国戦のイエロの抗議。ベンチのラウル。ウルグアイのレコバ。ベルギーのビルモッツ。アイルランドのダフのドリブルとロビーキーンのシュート。セネガルのディウフのドルブルとアンリカマラのスピード。カメルーンのエトー。各国の森島タイプの活躍も気持ちよかったね、アメリカのレイナ、トルコのバストゥルク、ドイツのヌビル。クロアチアのラパイッチの活躍も嬉しかったな。それから、ブラジルのリバウド、ロナウド、ロナウジーニョに、カフーの冷静さとロベカルの強さ。ドイツでは、バラックの知性が好きだった。それからカーンの水の飲み方だよね。韓国ではファンソンホンが好きだった。ニホンでは、中田と宮本かな。
もっとももっといい選手がたくさんいたけどね。好きな選手はもちろん、プレーの良さもあるけど、顔がいいってことだよね。目がいい。
気に入らない選手や審判もいたけどね。
あまり、ディフェンダーに関心がいっていないのは僕の未熟さです。はい。
結局試合を見てないチームは、フランス、エクアドル、コスタリカ、中国、というところか。地上波で、しかも平日の昼間のゲームは見られなかったからなあ。
でもこれからまたヨーロッパリーグやJリーグが楽しみだよね。
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