いちよ:飛んだ、あのうたかたの指輪は欲しくないけど、指の先っぽはやっぱり惜しい。それで、あたし、ベッドに寝ちゃった……。だって、そのベッドはまぼろしが勝手にどこかへ飛んでいかせないために、あつらえられたっていうんだもの。

と、ザラーンとした金属音、ついで、モーツアルトのオペラの序曲などがガーンと――。
突如、舞台奥にベッドを引いた野口の姿が、