トム:旅から旅へ、いくつもの街が枯葉のように、色鮮やかな、けれど枝から引きちぎられた枯葉のように吹き抜けていった。立ち止まりたいと思っても、なにかが私を追い立てた。なにかがいつも、ふいに襲いかかってきて私の心をとらえた。それは、懐かしい曲のワンフレーズや、透明な、ただのガラスのかけらや……。あるいは、夜道を歩いていて、まだ知り合いのいない初めての街で、ショーウィンドウの明りを見つける。香水を売る店だ。ショーウィンドウいっぱいに色のついたガラス瓶が並んでいる。小さな、透き通った瓶の、まるで虹を砕いてまいたような、ほのかな、やさしい色合い――