トムは、いつのまにか、上着を着て、客席の前まで立っている。

トム:私は月へは行かなかった。もっと遠いところへ行ったんだ……。だって、時の流れほど遠い隔たりはないじゃないか……。私はセントルイスの街を飛び出した。あの非常階段を最後に降りてから、父の歩んだ足取りを一歩一歩追いかけた、空間の中で失ったものを動き続けることで見い出そうとして……。