如月さんは異界に旅立ってしまったけれど、消えてしまった訳ではない。その遺伝子は様々な舞台で躍動し、増殖している。このLABO!の舞台でもそうだろうし、私や同時代に生きた演劇人の細胞の中で、以前と同じように息づいているのである。会いたいと思えばいつでも会える。演劇をやっている限りは。愚痴を言う独り言の中にも、若い演劇人と会話した時のその言葉の中にも如月さんの笑い声が聞こえる。「大変だけど、やらずにはいられないんだよ。」と。
渡辺えり子