女、男の脚をまたいで腰の上に座る。
女:花粉がね、あ、蝶々ですもの花粉とはいわないね、なんていうのかしら、羽から落ちていくの、粉が、紫色の。……それが剥がれるようなの、ウロコみたいにね、ゾリゾリと剥がれていってね、落ちていくんです。姉さん、いや。……痛いの、それは痛いんですよ、義兄さん。剥がれたあとが赤肌なの。
男:あいつがやるのか、痛い目にあわせるのか。
女:静かに、義兄さん、おねがいします。おねがい……その声が痛いんです。
男:あいつがか、え、そうなんだな。
女:だって、仕方ないんだもの。そうでしょ、ね、そうなんですもの、蝶々になったりして。痛いんです、義兄さん、さすってください、そっとよ。
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