男1:誰もまだ自殺者自身の心理をありのままに書いたものはない。それは自殺者の自尊心や、あるいは彼自身に対する心理的興味の不足によるものであろう。

男2:僕は君に送る最後の手紙の中に、はっきりこの心理を伝えたいと思っている。……。

編集者:……これは……!

女1:彼は、小説を書き上げたのち、偶然或古道具屋の店に剥製の白鳥のあるのを見つけた。

男3:君は新聞の三面記事などに生活難とか、病苦とか、あるいはまた精神的苦痛とか、いろいろの自殺の動機を発見するであろう。

女1:それは頸を挙げて立っていたものの、黄ばんだ羽根さえ虫に食われていた。

女3:彼は彼の一生を思い、涙や冷笑のこみ上げるのを感じた。