編集者:なのに、先生、あんたは立ち続けた。それでも立って、歩こうとした。前へ、前へと瓦礫の山ン中を、刃のこぼれてしまった、細い剣を杖にしながら。もういいよ、いいよ、先生。少し休もう。俺が許す。全面的に許すから、少し休んで、体力つけて、それから歩こう。また、書き始めよう。ついてゆくから、俺、どこまでも、ついてゆくから。でも、今は、今は、危ない。見ちゃいらんない。だから、先生……先生……!
編集者、文机の上に、原稿用紙の束を発見する。手にとって読む。読みながら、顔色が変わっていく。