大殿：おお、万事がその方の申す通りにいたして遣わそう。地獄変の屏風を描こうとすれば、まことの地獄を見ずにおかれぬ、その方の考え、よくわかった。できるできぬの詮議は無益の沙汰じゃ。車を火にかけよう。またその中にはあでやかな女を一人、乗せて遣わそう。炎と黒煙に攻められて、車の中の女がもだえ死ぬ――それを描こうと思いついたは、さすがに天下第一の絵師良秀じゃ。ほめてとらす。おお、ほめてとらすぞ。