ワーニャ:なんだって? もう一度言ってくれ。

セレブリャーコフ:ですから適当な有価証券を購入し、残った金でフィンランドに別荘を……

ワーニャ:フィンランドじゃなくて、その前!

セレブリャーコフ:そのためにはなんとしても、この屋敷を売らねばなりません。

ワーニャ:屋敷を売る? なるほど、それでその、あなたの名案では、僕は、年寄りの母親とソーニャとどこへ行けっていうんです?

セレブリャーコフ:それはまたいずれ相談しようじゃないか。いっぺんになにもかもは話せんだろう。

ワーニャ:そんなバカな? 僕はいままで、この屋敷も土地もソーニャの名義だと思ってた。これは父さんが、結婚の持参金代わりに妹に買ってやったものだと。それで、妹からそっくりそのまま、ソーニャに譲られたはずだと……