夏の夕暮れ時、薄暮の青い光が室内を満たそうとしている。

マリーナ:(お茶を差し出して)さあ、どうぞ。

アーストロフ:(受け取って)特に欲しいってわけでもないんだけど……。

マリーナ:どうせウォッカが飲みたいんでしょう?

アーストロフ:いや。いい。飲まないことにしてるんだ。……今日も蒸し暑かったな。

ねえ、バアヤ、僕らもぅ何年になるかな、知り合って?

マリーナ:何年って、そんなあなた。……うん、そうだね。あんたがこの土地にやってきた頃は、まだソーニャの母親の、ヴェーラが生きてた……、生きてた時分に、あんたはふた冬ここへ遊びに来てる。……てことはヤレヤレ、もう11年も経ったんだね……