男:昨夜も結局眠れなかった。床に入ってしばらくはうとうとするのだけれど、わずかの物音に目を覚まし、その後は冴えてしまって眠れない。月の光が入り過ぎるせいかと思って、布を張ってみたのだけれど、変わりない。昼間、よく身体を動かすようにと気を配ってはいるのだが、配りすぎるのも又、いけないらしく、今では夜が来て横になるのが少しこわい。原因は多分、私の身体の奥深いところに折り畳まれてあるのだ。それが夜になると磁気を帯びて青白く光り出し、眠ろうとする細胞の一つ一つを覚醒に追い込んでゆく。