少女:その小さなトゲだらけの生き物は、まるで昔からそこが砂漠であったかのようにきちんと背筋を伸ばして西日に耐えて座り続けていたのでした。父も母も、誰もサボテンに水をやっている風はなかったのですが、それでもそいつは何年も枯れるでなく、成長するでなく、のろのろと生き続けていたのでした。あまり静かに生きていたので、皆、忘れていたのです。それが生きていたことを。砂漠が生きていたことを。