突然、ラジオ体操の放送がきこえてくる。
二人、耳を釘付ける。顔を見合わせる。
やがて、男が、肩からかけたラジオを鳴らし、歯を磨きながらあらわれる。
男、ことばを口には出さず、しかしなにごとかうなずたり、ひっかかったりして歩いている。
二人、男へ近寄る。

女1 ああ……。

女2 ああ……。

女1 ね、明日、ね。

女2 そうよ、明日だわ。きたわ。これよ、明日。

女1 これなのね、明日。

女2 ね、ほら、いつのまにかきたわ。

男、二人から遠ざかっていく。