「ソライロノハナ第二集」
「卒塔婆小町」より 詩人

「なん時間かのちに、いや、なん分かのちに、この世にありえないような一瞬間が来る。そのとき、真夜中にお天道さんが輝きだす。大きな船が帆にいっぱい風をはらんで、街のまん中へ上がってくる……。ボクは子供のころ、どういうものか、よくそんな夢を見たことがあるんです。大きな帆船が庭のなかへ入ってくる。庭木が海のようにざわめき出す。帆桁には小鳥たちがいっぱいとまる……。ボクは夢の中でこう思った、うれしくて、心臓が今とまりそうだ……」

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