彼:(下手に現れ)ねえ、俺のシャツどこ?
彼女:(無視して観客に)でね。その子、それをあたしの胸につけたの……飾ったの。その子の言い方で言えばね……この左胸の、ちょっと下の方に。だから……ちょうど真上に。(左手のバラでやって見せる。以後そのまま)
彼:(舞台を横切りながら)シャツ!
彼女:あたし、こう首を傾けてたんだけど、体温であったまっちゃってて、やっぱり匂うわけ。そしたら……そこにもう一人男の子が、テーブルに現れて、立ったまま、あたしを見下ろすの。なんだか……傷ついた顔で。
彼:(右往左往して)ねえ、シャツだって。
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