販売員:何を言ってるんですか、あなたは……?

執事:ですからね……。

販売員:ま、いいです……。私も別に、呼ばれたからやってきた、というわけじゃありませんから……。(バス停の標識とベンチを見つけて)これですか……? つまり、やってきたらたまたま、誰かに呼ばれたような気がした、というだけのことです……。

執事:でも、いいですか、私が呼んだんじゃないってことは、よく覚えておいてくださらなくっちゃ困りますよ……。

販売員:わかってるって言ってるじゃありませんか。あなたが何故、そんなことにこだわるのか知りませんけどね……。少なくとも私は、常に自由意志で行動しているんです……。これなんだろうな……。(標識の文字が読めない)すみませんが、これ……?

執事:確かに私は、死んだら犬は犬でなくなって、犬でないものはお散歩させなくてもいいんだってことをわかってくれる誰かがやってきて欲しいと……。

販売員:犬でないものって……。それ、犬じゃないんですか……?

執事:犬じゃありません……。