編集者:大丈夫。出来る。あんたなら出来る。

編集者、作家を無理矢理、文机の前に座らせ、

編集者:あんなに書いて来たじゃないですか。あんたまだ、学生だった頃から、古今東西なんでもござれのたいした博識縦横無尽で、こわいものなしの文壇の風雲児だった。書くもの、書くもの、絶賛に次ぐ絶賛で、またたく間に、誰もが羨む天才作家の称号を奉られた。俺は驚いたね。こんな文章を書くやつがいるのかってね。こんなこと、思いつくやつは、いったいどんな面下げてやがんのかってね。舌を巻くってのは、こういうことを言うんだね。確かにあんたの書いたものは短い。本数も決して多くはない。が、そこがまたいい。出来ますよ。何てこたない。