あらすじ
ときは古代、神話の時代。ところは南洋の波から波へ、諸国をめぐる物語。
小国ツロの尻の青い王子だったペリクリーズは、強大国の美姫に魅了されて近づくが、反対に、その中心に隠された「ケガレ」に触れて命を狙われ、故国も捨てて航海へ出る。諸国をめぐり、嵐に会って海岸に打ち上げられすべてを失うが、その国で「王であること」と「人を愛すること」を知る。しかし、またも嵐に会って、生まれた娘と引き換えに愛する妻を失い、悲しみに沈んでゆく。
時は流れ、他国に預けられた娘マリーナは、孤独のうちに、「美しさ」と「気品」を身につけて育つが、養母に疎まれ殺されかけ、逃れた島国では女郎屋へ売られる。しかし、身は売らず、魂の気高さを捨てることなく、男たちを説得し続ける中で、島の領主とも出会い、やがて「働いて生き抜いてゆく」術を身につけてゆく。
父と娘の、あらゆる苦難と悲惨が乗り越えられ、宇宙や自然の中での人間の存在と位置が解きあかされる。そして二人がふたたびめぐり会うとき、ゆがんだ世界が、完全な愛の空間へと回復されてゆく――。
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