|
「1stステージのまとめとして」
3月11日(日)
昨日と今日はケイコはOFF。この2日の間に、俳優の体の中では、多くのことが鈍っているだろう。明日からは、また、すべてを一から始めるように心掛けなければならない。それほど、日常というのは、手強い。手強い、惰性の力でもってボクらを引きずり降ろしていく……。(その一方で時間とともに熟成されていくものもあるのだが、それにはあらかじめ十分な培養菌を注入しておかなければなからない)
明日から、スケジュールの第2週目にはいる。
そこで、この1週間のWORKSHOP期間と称した日々を考えてみると……。
なりより、まず収穫は、「摺り足」の稽古。
ポイントは、1、腰の高さを変えない。2、スピードを一定に保つ。3、胆田から進んでいく。
一昨日のNのレクチャーは大変面白かった。鈴木メソッドの一つらしいが、舞台で見る鈴木忠志の演出のものよりも、いかめしくなく、自然な感じを受ける。能よりも現代的な「摺り足」といおうか。それは、歩行というものの延長線上にある「摺り足」だった。というよりそもそも「摺り足」というのは、なんら特別のことではなく、「歩くこと」の基本なのかもしれない。
五体満足な人で、歩くことに不自由でない人ならばだれも、歩くことなんか、カンタンだと思うだろう。けれど、歩くことはいがいに難しい。難しいというより危険な仕事なのだ。(ボクは高校時代の経験で知っていることだが、歩くことは、走るよりも疲れることなのだ。ふつう、人は24時間ぶっ続けで歩き続けることは不可能だ)
右足から左足へ、左足から右足へと重心を移していくことは、思っているよりも危険な綱渡りなのだ。その綱渡りを軽快に、おのれのセンスでもって渡り切っていくことが、「摺り足」の妙だと思う。能の「摺り足」は知らない。けれど僕らの使えるセンスはここにある! と、思った。
胆田を中心とした体の重心が、360度の方向から支えられて、重力を相殺し、「歩く」体の自由を獲得するコト。言うのも難しいが、やるのはもっと難しい、けど、それぞれのセンスでもってそれを「楽しめる」ところへもっていって欲しいと思う。
俳優が舞台に登場するということの「異常」を、効果的に魅せるための方法として使ってほしいと思った。
あとは、コーラス隊のアンサンブル。
声を合わせるだけでも難しいことなのだが。この1週間ずっと参加した役者は、他の人の特徴をつかみ、初読みのところでもすぐに合わせることには慣れて来た様子。
「アンサンブル」というのは、確かに人と合わせる作業なのだが、メンツが変わればまた違った内容になるくらい、実は、個々の個性が重要なのだ。合わせつつ、個々が生きるコト。それが理想のアンサンブルだ。
テンポとニュアンスが、その具体。だが、第3の要素として「間」を入れ込んで生きたい。それが最終的な課題となるであろう。STILL
POINTだ。「止まり」のなかに、次の動きが生まれていくように……。
だから、これからもっと具体的なシーン作りになっていくのだが、大切なのは、「序破急」のリズムだと思っている。「序破急」「序破急」「序破急」というリズムで、シーンが進んでいくように。前の「急」の中から、次の「序」が生まれてくるように。
それから個々の課題。
胆田に注意して、気持ちやイメージを集中できるようになるコト(深い呼吸)。
下半身の動きを背骨へとリンクできるようになるコト(全身のオートマティズム)。
伸びやかな声を失わないようにするコト。
さらに具体的な課題。
複合的なイメージを抱えつつ、それをシンプルに表現するコト。
さらに「隠す」ことで、観る者を引き込んでいくような表現へ。(ありもしない「裏」を感じさせて、観客を騙すコト)
もっと具体的な課題
役者同士の「息」を合わせられるようにするコト。互いがHonestyを持つように、仲良く、強く接しられるように、仕向けるコト。信頼するコト。
(才能は個人の中にあるのではない)
最後に、集団の意気を合わせていくコト。
つまり「ソライロノハナ」という現実の物語を誠実に紡いでいくコト。
そんなところであろうか?
しかし、なによりも願うのは、あなたが何をしていようが、俳優として、役者として、日々を過ごしていられますように……。
合掌。
|