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〈世界が進歩しているというのは、幻想だ……。〉 ボクもあなたも、心の中では「悪は死ね!」と思っている。 たとえば、ドラキュラ伯爵がそうだ。ジャンヌダルクだってそうだ。キリストだってそうかもしれない。その当時はみんな「邪悪な者」としてこの世から排除されたのだ。人々は、その「抹殺」に狂喜乱舞したのだ。 〈人間が進歩しているというのは、幻想だ……。〉 (麻原ショーコウを、あくまで一人の国民として、特別扱いせずに(多くの国民の心情はそうではなかったが)、殺さず生かさず、フツーの裁判にかけ、煮込み料理にかけている、日本の当局のやり方は、むしろバカ正直なまでに、賢明と言わなければならないだろう。脱伝説化のために。) 人間の「物語る」能力は計り知れない。この科学文明の現代でもそれはぜんぜん失われてはいない。むしろ現代のマスコミこそ、その一翼を担うものであり、インターネットがさらにそれへ加速を加えている。 〈倫理が進歩しているというのは、幻想だ……。〉 「平家物語」が生まれたのは、平家の滅亡からわずか30〜40年後である。そののち何百年ものあいだ、「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり……」は人々を、一般民衆を魅了し、感涙させ続けてたのだ。そして、その怨霊を鎮魂しようという意思が、世阿弥に「猿楽能」という多くの傑作を書かせたのだ。 そのような民衆(の想像力)まで撲滅することは、アメリカにもできまい……。 いつか(おそらく今世紀中に)、この「テロと報復」という名の事件が、さらに大きな反動となって、世界に返ってくることになるだろう……。
2001.11.22 |