ご あ い さ つ
2000年12月19日。如月小春が亡くなってしまったとき、私はこの世に、こんなに悲しく、苦しい、なす術のないことがあるのかと思いました。
NOISE(ノイズ)時代、もっと以前には劇団綺畸の頃から、如月と共に自分の心や時間の中心をお芝居の神様に捧げてきました。
今ここに、『A・R―芥川龍之介素描―』を私どもLABO!(ラボ)で、再演することが出来ますことは、如月の天よりのプレゼントだと思っています。
芥川龍之介の晩年の生の苦悩を読み解き、如月が、芥川の芸術と生活、そしてその死にどのようなまなざしを向けたか、それを彼女独自の詩的言語をもって、いかに「A・R」に結実させたかを1つずつ丁寧に掴み採り、LABO!なりの表現に結びつけていきたいと考えています。
私どもLABO!の役者たちの体に有る方法論は、如月の残した遺産です。如月の「自由にからだ、自由に声」と、演出家堀内の自由な発想と丁寧な心理描写をもって、心して「A・R」を立ち上げたいと思っております。如月の言葉を、世界を、私たちの体を通して、皆様にお伝えすることができれば、と願っております。
どうか劇場まで足をお運び下さい。
心よりお待ち申し上げております。
2003年2月 瀧川真澄
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